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「若い世代が考える北海道の知事像 3期連続は組織の腐敗を進める」

『クオリティ』2003.2. 70.

 

橋本努

 

 

望ましい知事像というと、未来へのビジョンと行政手腕があって意志が固く、市民に勇気と元気を与えてくれる人、という平板なイメージを思い浮かべてしまう。しかしそのような人はなかなか立候補しないので、結局前任者が次善だ、という発想になるのだろう。

私は反対である。どんな知事でも、三期連続も勤めれば組織内部の腐敗は深刻になる。また長期ビジョンを持った人に任せても、道経済は土木事業依存の借金体質から脱却できない。北海道全体が試される現在、必要なのは長期ビジョンではない。長野県の田中知事のように、原発やダムや高速道路の建設に異議を唱え、行政をスリム化し、内部告発を奨励し、議会と対立しながら、従来の道政を見直すきっかけを与える人が求められる。

利害調整に長けた人は副知事にとどまるべきで、知事はむしろ道民の側に立って、公共事業の甘い恩恵にあずかる人たちとの間の利害対立を浮き彫りにすべきだろう。道経済のまとめ役ではなく、行政依存体質を変革することによって、道民の潜在的な独立心をかき立てるような人物を期待したい。